『クロードと悪夢』|狂愛劇場

 嗚呼、頭が割れそうだ。

「……あ、夢……」
 焦って目を開けると、見慣れた天井に、寝心地が良いはずのベッド。少し暑いくらいの室温に、寝覚めの悪い僕の機嫌は更に悪くなる。呼吸は……しっかりできているから、まあいいだろう。
 最近悪夢のようなものを見る。それは幼い頃の……。僕が初めて罪を犯した日。そしてその人がひたすらに叫んでくるのだ。どうして、どうしてどうしてどうして、と僕の頭に直接刺激を与えるように。どうしてもこうしても、貴女はまだそこにいるのに、なぜにそんなことを聞いてくるのか。いつだってすぐ側にいる、けれど貴女は口を開かない。……それもそうだ、口などもうないのだから。
 小さい頃からずっと一緒に居て、貴女は貴女の言う〝愛〟を僕に与えてくれた、らしい。僕にはそんなものわからない。あれが〝愛〟だというのならば、僕のこれは〝愛〟ではないのか。違う、僕のこれこそ本当の〝愛〟だ。つまり貴女は、〝愛〟していたのにどうして殺したのか、そう言いたいのか。
「……僕にとっての〝愛〟が、それだったからだよ、お母さん」
 貴女を見る。貴女も僕をずっと見ている。見てほしい、その綺麗な碧い瞳で、僕だけを見てほしい。悪夢などどうでもいいし、貴女がどう思おうと、もう貴女は口を開かない僕だけのモノ。どうしてと問われても、それが僕の〝愛〟だから、という答えしか僕からはでてこないよ。

『ねえクロード、貴方は楽しい?』
 うん、楽しいよ、とっても。この部屋は僕の〝愛〟でできている。だから絶対に誰にも壊させない、夢の中の貴女にもね。

 嗚呼、幸せで頭が割れそうだ。