『一日』|狂愛劇場

 朝起きて、顔を洗ってから彼の寝顔を見る。ふふ、とっても気持ちよさそうに寝てるわ。
 服を着替えて妹とおそろいのペンダントを身につける。今頃どこで何をしているのかしら。あの子は小さい頃から嫌な目に会ってきたわ、し返すような子になってなければいいのだけれど。なんて、毎日同じことを思っている気がするわ。
「シャルロット様」
「はーい」
 ユーリはかなりの家の人で、私は使用人さんなんてものに今まで触れてこなかったから、未だに慣れないわ。
「朝食の準備が整いました。ユーリ様が起きましたらご一緒にダイニングルームへお越しください」
「わかったわ、ありがとう」
 さて、ユーリを起こさなくっちゃ。

「うーん、まだ眠い……」
「それ、いつも言ってるじゃない。ああもう、髪がボサボサよ!」
「んー、今着替えてるから……」
「せっかく使用人さんが用意してくれたのだから、早く食べに行きましょう!」
「シャルロットは元気だね……」
「ユーリより早く起きて目を覚ましておいたんです!」
「それはごめんなさい……」
 こんな会話も、私にとっては大切な日常の一部なのよ、なんてことは言わなくても、きっとユーリはわかってくれているわよね。

「朝ごはん、美味しかったわね!」
「そうだね。あ、そうだシャルロット、今日はなにをしようか」
「そうね……、あ! この間新しい本が出たのよ、買いに行ってもいいかしら?」
「ああ、もちろん」
「ふふ、ユーリ、この間貸した本、読んでくれた?」
「まだ半分ちょっと……」
「もう、読むの遅いわ! ……でもお仕事頑張ってるものね、お疲れ様」
「その言葉でまた頑張れる気がするよ」

「ふふ、」
「? なに、急に」
「ううん、ユーリとお出かけするの、久しぶりな気がしたの」
「確かに最近仕事ばかりしていた気がする……」
「でしょう!? だから私、今とっても幸せなのよ!」
「……そうか」
 私の頭を撫でるユーリの手は、大きくてあたたかくて、とても安心する。その手に頬ずりしたくなってしまうこともあって、なんだか恥ずかしいわ。

「ただいま帰りました」
「ただいま」
「おかえりなさいませ、ユーリ様、シャルロット様。夕飯の準備が整っております」
「ああ、わかった」
 今日は一緒にお出かけもできて、幸せな一日だったわ。最後に夕食を食べて、今日はおしまい。

「ユーリ、寝た?」
「起きてるよ」
 もぞもぞと音が聞こえる。
「あら、起きてた」
「シャルロットが言ったんだろ?」
「ええ、そうね」
 くすっと笑う。暗闇でユーリの顔は見れないけれど、きっとやれやれと思っているわ。
「あのねユーリ、私今日とっても楽しかったの。なんだか明日も素敵な一日になりそうな気がするわ」
「……うん、僕も楽しかった。明日を迎えるのが楽しみだね」
「ええ」
「……さあ、もう寝よう。明日の朝起きられなくなる」
「それはユーリだけよ」
「そうかもしれないから否定できないな……とにかく、おやすみ」
「ええ」
 また明日も今日みたいに楽しくて幸せな一日になればいいわ。そうだ、図書館にも行きたいの、お買い物もしたいわ! まだまだたくさん、ユーリとの時間を過ごしたい。だから、今日の光景も目に焼き付けて、おやすみなさい。